「SNSの再生数が伸びたのに、問い合わせが全然来ない」
私たちのもとには、こうした相談が後を絶ちません。飲食店、商業施設、BtoB企業——業種を問わず、同じ壁にぶつかっています。Instagram、YouTube、TikTok。どのプラットフォームでも「バズる」ことが正義だと信じられている風潮がありますが、実はそこに大きな落とし穴があります。
この記事では、SNSマーケティングのKPI設計について、再生数に頼らない正しい指標の選び方を解説します。
再生数は「虚栄の数字」である
マーケティングの世界では、ビジネス成果に直結しない見せかけの指標を「バニティメトリクス(虚栄の指標)」と呼びます。再生数、フォロワー数、いいね数。これらは確かに見栄えがいい。報告書に書けば「頑張っている感」が出ます。
しかし冷静に考えてみてください。再生数が100万回を超えた動画がある飲食店と、再生数3,000回だが毎月30件の予約が入る飲食店。ビジネスとして健全なのはどちらでしょうか。
答えは明白です。
なぜ多くの企業がバニティメトリクスを追いかけるのか
理由は3つあります。
1つ目は、SNS運用代行会社の多くが再生数やフォロワー数を成果指標にしているからです。なぜなら、それが最も「成果が出ている」ように見せやすいから。コンバージョン(問い合わせ・予約・成約)の数字にコミットすると、責任が重くなります。
2つ目は、SNSプラットフォーム自体がビュー数を強調するUIになっていること。アナリティクス画面を開くと最初に目に入るのは再生数です。自然と「この数字を伸ばさなきゃ」と思い込んでしまいます。
3つ目は、「バズった事例」ばかりがメディアで取り上げられること。「フォロワー0から100万人に」という成功譚はキャッチーですが、その裏で実際にビジネスとして成功しているかは語られません。
SNSマーケティングで本当に追うべき3つのKPI
では、SNSマーケティングで追うべき指標とは何か。私たちが実際のクライアントワークで設定しているKPIは以下の3つです。
① 視聴維持率(YouTube)/ 保存率(Instagram)
再生数よりも「どれだけ深く見られたか」が重要です。YouTubeなら平均視聴率40%以上、平均視聴時間5分以上をファン化のKPIとして設定します。Instagramなら「保存数」。保存はユーザーが「後で見返したい」と思った証拠であり、購買行動に最も近いアクションです。
② リンククリック数 / LINE登録数
SNSからどれだけ次のステップ(公式LINE、HP訪問、予約ページ)に移動したか。これが「集客」の実数です。この数字が伸びていれば、再生数が少なくてもマーケティングとしては成功です。
③ 最終コンバージョン数
問い合わせ、予約、資料請求、来店。ビジネスのゴールそのものです。ここから逆算してSNS戦略を設計するのが、正しいアプローチです。
KPIの逆算設計:成約から考える

たとえば、月に5件の新規問い合わせが欲しい場合。
問い合わせ率が2%なら、月間250件のサイト訪問が必要。SNSからのクリック率が1%なら、月間25,000回のリーチが必要。
こうやって逆算すると、必要なリーチ数は「25,000回」。100万回も要らないのです。
大切なのは25,000人の「正しいターゲット」に届けること。100万人にバズらせることではありません。これは飲食店でも、商業施設でも、BtoB企業でも同じロジックです。
Googleが提唱するGA4のコンバージョン設定を活用すれば、SNSからの流入がどれだけ成約に貢献しているかを正確に計測できます。
「バズらないSNS戦略」の方が成果が出る理由
私たちミチノクキカクは、自社でInstagram 12万人、YouTube 7.9万人、月間1,000万Viewのメディアを運営しています。バズらせる力は十分にあります。
しかしクライアントワークでは、あえて「バズらない戦略」を提案することがあります。なぜなら、ターゲットを絞り込んだコンテンツの方が、成約に直結するからです。
たとえば、仙台の商業施設が東北エリアの20〜30代女性に届けたいなら、全国100万人にリーチする必要はありません。宮城・山形・福島の「週末にお出かけ先を探している層」に確実に届けば、それで十分です。
バズるは、売らない。売れるを、つくる。これが私たちの哲学です。
まとめ
SNSマーケティングのKPIを見直すだけで、同じ運用コストでもビジネス成果は大きく変わります。
再生数を追いかけるゲームから降りること。代わりに、視聴の深さ、次のステップへの移行数、最終コンバージョン数を追うこと。このシンプルな切り替えが、SNSを「コスト」から「投資」に変えます。
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